富山県で起きた実父による性的暴行事件が、再び波紋を広げています。
富山地裁で懲役8年の実刑判決を受けた元会社役員の大門広治被告(54)が、判決からわずか数日後に控訴しました。
被害者であり、実名・顔出しで声を上げ続けている福山里帆さん(25)は、「裁判所の判決ですら、父の心には届きませんでした」とコメント。
彼女の勇気ある行動は、いまなお沈黙を強いられている多くの家庭内性被害者に光を当てています。
事件の概要
事件の被告人は、富山県黒部市に住む元会社役員の大門広治被告(54)。
2016年、当時高校2年生だった実の娘・福山里帆さんに対し、日常的に暴力をふるい、抵抗できない状態で性的暴行を繰り返していたとして、準強姦の罪に問われました。
富山地裁は2025年10月21日、被告に対して懲役8年の実刑判決を言い渡しました。
しかしその後、被告はこの判決を不服として10月29日に控訴を申し立てています。
引用:MBS NEWS
被害者・福山里帆さんの勇気ある告発
福山里帆さんは取材で次のように語っています。
被害は中学2年から高校2年まで続いた。私が悲しんで苦しくても、頑張って自分の中にとどめれば、家族は日常生活を送れると思っていた。きょうたまたま死ななかっただけで、死なない日を延ばして生きてきた。
引用:MBS NEWS
彼女は「実名・顔出し」で取材に応じ、自らの過去と向き合いながら、家庭内で起こる性暴力の現実を社会に訴え続けています。
その勇気ある行動は、多くの被害者たちにとって“沈黙を破る希望”となりました。
家庭という密室で行われる暴力は、外部からは見えにくく、被害者が「誰にも信じてもらえない」と感じることが多い中で、福山さんの告白は社会に大きな衝撃を与えました。
裁判の経過と判決内容
裁判で大門被告は、性行為そのものは認めたものの、「妻が不在のときを狙って8回ほど性交したが、逆らえない状態ではなかった」と起訴内容を否認しました。
弁護人も「娘が誘いを無視することもあった」として準強姦罪の成立を否定、無罪を主張していました。
しかし富山地裁は、被害者の供述の信用性を高く評価し、「長期間にわたり父親という立場を悪用し、娘を支配下に置いていた」と指摘。
その結果、被告に対して懲役8年の有罪判決を言い渡しました。
一方で、被告側はこの判断を不服として控訴に踏み切っています。
被告・大門広治の控訴とその背景
懲役8年の判決を受けた大門広治被告は、10月29日、正式に控訴を申し立てました。
理由の詳細は明らかにされていませんが、弁護側は一貫して「強制性の欠如」を主張しており、控訴審では判決の妥当性が改めて争点となる見通しです。
この控訴を受けて、被害者の福山里帆さんは次のようにコメントしました。
裁判所の判決ですら、父の心には届きませんでした。残念ではありますが、私は最後まで、真実のために、そして今も苦しむすべての家庭内性被害者のために戦い抜きます。
引用:MBS NEWS
この言葉は、彼女が単なる被害者ではなく、「社会に問題提起する当事者」として戦い続けていることを象徴しています。
家庭内性被害の現実と支援の必要性
家庭内性暴力(家庭内性虐待)は、外部から発覚しにくく、被害者が長年にわたり沈黙を強いられる構造があります。
また、加害者が家族という立場にあり、被害者が経済的・精神的に依存しているケースも多く、逃げ出すことすら難しい現状もあります。
こうした被害を減らすためには、社会全体での理解と支援が不可欠です。
家庭内性暴力被害者への主な支援窓口
・性暴力被害者ワンストップ支援センター(#8891)
・女性の人権ホットライン(#188)
・地方自治体・警察の相談窓口
また、学校や職場、地域社会での性教育・防止教育の強化も重要です。
「家庭内で起こる性暴力は“犯罪”である」という認識を社会全体で共有することが、次の被害を防ぐ第一歩です。
ネット上での反応と声
ネット上では、福山里帆さんの発言と勇気ある行動に、共感と励ましの声が多数寄せられています。
・「彼女の勇気は本当に尊敬する」
・「加害者の控訴には怒りしかない」
・「家庭内性暴力を社会がもっと真剣に考えるべき」
SNSやニュースサイトのコメント欄では、事件そのものへの怒りだけでなく、“被害者を支える社会の仕組みが必要だ”という意見が多く見られました。

まとめ
今回の事件は、単なる親子間の問題ではありません。
家庭内性暴力(インセスト)という社会問題に対し、私たち1人1人がどう向き合うかを問う出来事です。
福山里帆さんの「真実のために、そして今も苦しむすべての家庭内性被害者のために戦い抜きます」という言葉は、被害者たちの代弁であり、社会への強いメッセージです。
家庭という“見えない場所”で苦しむ人たちに手を差し伸べるため、社会全体で「沈黙を破る」勇気が求められています。

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