出産後の母親が心身ともに回復し、安心して子育てを始めるための「産後ケア」。
近年、全国的にも注目が高まっていますが、中でも富山市の産後ケア事業は利用件数が大幅に増加し、話題となっています。
特に宿泊型のショートステイが当初予想の2.5倍、デイケアも1.6倍の利用実績となり、富山市は追加予算を組むまでに至っています。
当記事では、富山市の産後ケア事業の概要から、急増の理由、利用者の声、そして今後の支援体制などについて深掘りします。
富山市の産後ケア事業とは?
富山市では、市内の指定産科医療機関6カ所と連携して、産後ケア事業を実施しています。
対象は産後1年未満の市内在住の母子で、サービス内容には下記のような支援が含まれています。
・ショートステイ(1泊2日)
・デイケア(4時間または6時間)
提供される支援は、母親の心身のケア、育児相談、沐浴方法の指導、乳房ケアなど、実践的で温かみのあるものばかり。
さらに、「まちなか総合ケアセンター応援室」では、市外(滑川市、舟橋村、上市町、立山町)や里帰り出産の方も産後4カ月まで利用可能です。

利用件数が予想を大きく上回る
富山市が2025年度当初に見込んでいたショートステイの利用件数は50件、デイケアは240件でした。
しかし、10月末時点の実績では、
・ショートステイ:109件(見込み125件) → 2.5倍
・デイケア:234件(見込み394件) → 1.6倍
と、いずれも大幅に想定を上回る結果となっています。
これを受け、富山市は12月の市議会で431万円の補正予算案を提出し、予算の拡充を図っています。
利用者の声にみる産後ケアの価値
実際にサービスを利用した母親たちからは、下記のような声が寄せられています。
・「気になることを助産師さんに気軽に相談できる」
・「休める場所があると思うと、心に余裕ができる」
・「また育児を頑張ろうと思えた」
育児による不安や孤独を抱える母親たちにとって、産後ケアが心の支えとなっていることがわかります。
助産師など専門職によるサポートが、孤立の予防にもつながっている点が、富山市の事業の大きな魅力です。
市の対応と今後の支援体制
需要の急増に対応するため、富山市では2026年4月より料金改定を予定しています。
物価上昇に伴うコスト増加への対応で、以下のような改定が行われます。
・デイケア:300〜700円の値上げ
・ショートステイ:1,000円の値上げ
また、応援室の利用対象も市内にとどまらず、近隣自治体や里帰り中の母親まで広がっており、今後もより包括的な子育て支援体制の構築が期待されます。
市の担当者も「孤独や孤立を解消したい」と語っており、社会全体で子育てを支える環境づくりが進められています。
まとめ
富山市の産後ケア事業は、実績・サービス内容ともに非常に充実しており、今後の子育て支援のモデルケースとなる可能性を秘めています。
利用者の声からも明らかなように、心と体をケアできる仕組みが、母親の安心と子育ての継続につながるのです。
今後はさらなる利用促進と制度の拡充が期待されます。
子育て中の方や妊娠を控えている方、支援に関心のある地域住民にとって、富山市の産後ケアは見逃せない取り組みです。

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