富山県内で公共交通を支える富山地方鉄道(地鉄)が、2025年10月1日からバスの一部区間・一部路線を廃止・縮小することを発表しました。
背景には深刻な運転手不足があり、現行ダイヤを維持するには9月末時点で25人程度の運転手が不足しているとされています。
当記事では、今回の発表内容やその影響などについて深掘りします。
地鉄バスが路線廃止を発表
廃止・縮小対象の系統と範囲
地鉄は、10月1日付で18系統にわたるバス路線の一部または全区間で運行を廃止または縮小する方針を示しました。
具体的には、猪谷線の「笹津橋詰〜猪谷」区間や、山田線「蓮花寺〜山田中核型地区センター」区間などが対象とされています。
また、城端線を全線で廃止する計画も含まれており、全体として17〜18路線での見直しが報じられています。
背景:深刻な運転手不足
地鉄側は、今回の見直しの最大の理由として「運転手不足」を挙げています。
従来のダイヤを維持するには198人の運転手が必要と見積もられている中、2025年9月末時点で25人程度が不足しているとの報道もあります。
富山県も公共交通確保の観点から、地鉄の発表を受けて生活路線バス協議会を開催。
県としては大型2種免許所有者の減少や採用力強化の支援を進めるなど、ドライバー確保に向けた取り組みを表明しています。

ダイヤ改正と減便の影響
減便規模と運行体制の縮小
新ダイヤでは、平日で50便、休日で45便の減便が予定されています。
運行可能本数が削られることで、朝夕の通勤通学時間帯の混雑や待ち時間拡大が懸念されます。
報道によれば、廃止・縮小により、平日運行便数が741便 → 減便後、更に縮小される見込み。
休日も同様に運行便数が削減されます。
地域住民への影響と声
一部利用者からは、「昨晩ニュースで聞いた。残念だと思う。次からはタクシーを使わないといけないと思っている」といった声も聞かれています。
実際、地方部では公共交通の選択肢が限られているため、バス廃止は高齢者や徒歩移動困難者にとって大きな打撃になる可能性があります。
また、減便によってバスを待つ時間が長くなる、乗り換えが増える、通勤・通学の利便性が落ちる、という懸念も予想されます。
さらに、廃止を受けて滑川市などでは、自前のコミュニティバス「のる my car」のルートとダイヤの見直しを10月1日から行うことを決定しています。
今後の代替手段と地域交通のあり方
代替措置や見直し案
地鉄は、廃止・縮小対象路線に対して、可能な限りの代替路線設置や経路変更を検討するとしています。
また、自治体や地域住民との協議を重ね、地域交通ネットワークを維持する努力も進められています。
県もバスドライバー確保の支援、採用イベントの実施などを通じて公共交通事業者を支える構えを見せています。
滑川市のように、地鉄の廃止区間を補う形でコミュニティバスのルート・ダイヤ改正を行う例も出始めています。
長期的視点:公共交通の将来像
今回のような路線廃止・減便は、少子高齢化・人口減少が進む地方都市に共通する課題です。
「公共交通インフラをどう守るか」が地方の喫緊のテーマになります。
将来的には、下記のような要素も重要になるでしょう。
・オンデマンド交通(予約制・小型バスなど)
・連携型交通システム(自治体・住民・交通事業者間での統合)
・モビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS)型の導入
・自動運転バスなど新技術の実証・導入
地域の交通ニーズに即した柔軟・効率的な運行体制の構築が、将来の鍵となります。
ネット上での反応と声
ネット上では利用者から、
・「不便になる」
・「通勤・通学に打撃」
・「代替がない」
などの不安の声が散見されます。
一方で、
・「人手が足りずやむを得ない」
・「安定運行を優先すれば縮小もやむを得ない」
という理解を求める意見も目立ちます。

まとめ
富山地方鉄道が2025年10月1日から実施するバスの一部路線廃止・縮小とダイヤ改正は、地域の公共交通にとって大きな転換点です。
運転手不足という現実的な制約が根底にあり、単なる行政判断ではなく経営・人的な限界との戦いでもあります。
今後は、地鉄・自治体・住民が協力して代替手段をつくり、失われつつある交通ネットワークを補強することが求められます。
当記事は以上となります。
コメント