11月5日早朝、富山市郊外の栗山地区―交通量の多い国道41号線沿いの造園会社資材置き場付近で、1頭のクマが駆除されました。
県内では2例目となる「緊急銃猟」でのクマ駆除。市街地近くでの発砲を伴う措置に、住民からは「かわいそうだけどありがたい」という複雑な声も上がっています。
当記事では、決断に至る背景、安全確保の難しさ、今後の警戒体制などについて深掘りします。
緊急銃猟の決断まで
4日夕方、この地域でクマの目撃情報が寄せられ、足跡も確認されたと市は発表しました。
翌5日午前6時20分ごろ、市の職員と猟友会のメンバーが竹藪の中を進むクマ1頭を確認。
市は、午前9時22分に緊急銃猟を許可しました。
猟友会は石や枝を投げ、爆竹を鳴らしてクマを誘導。
その約1時間後、「パーン」「パーン」「パーン」と3発の銃声が発せられ、駆除が完了しました。
駆除されたクマはメスの成獣で、体長は約120センチとされています。

国道沿いという特殊な現場での判断とは?
駆除現場は国道41号沿い、車通りの多い時間帯という非常に難しい環境。
市の森林政策課・中島光輝課長は「まず(国道)41号線をどうするかというところがあり、できないんじゃないかとも思った。しかし、弾丸の方向、地形、住宅の密集度を考え、できるという判断に至った」と語っています。
銃弾の飛ぶ範囲を想定し、住宅地や通行車両の安全を確保したうえで実施された措置です。
通行止めに出来ない朝の国道沿いでの発砲には、極めて慎重な判断が求められました。
今後の警戒と対応
市は駆除後も、周辺にもう1頭のクマがいる可能性を指摘し、引き続き警戒を呼びかけています。
実際、富山市内では市街地近くでクマの出没が増えており、「里山地域にクマが定着しつつある」との報告もあります。
住宅や道路に近い藪や河川敷がクマの通り道となっていることから、生ごみ管理や草むらの整理など「クマを誘引しない環境づくり」が住民・地域ぐるみで必要とされています。
ネット上での反応と声
今回のクマの駆除を受けて、様々な声が寄せれています。
・「ちょっと怖いですね。こんなところにクマ出たら」
と通りかかった人。
・「かわいそうだけどありがたい。人にけがを負わせたら大変だからね」
と、近くに住む人の言葉も報じられています。
ネット上では、
・「銃猟はやむを得ないが、もっと被害防止策を先に強化すべき」
・「人里にクマが近づく背景には自然との境界があいまいになってきているのでは」
という指摘も散見されます。こうした声を受け、行政の「被害が出る前」の対応が強く求められる状況です。

まとめ
富山市栗山地区での緊急銃猟は、「人命を最優先に守るための苦渋の判断」であったと言えます。
交通量の多い国道沿い、住宅地のすぐそばという条件下で、市と猟友会が安全確保のための検討を重ね、実施に踏み切りました。
住民の「かわいそうだけどありがたい」という言葉には、自然に手をかけざるを得なかった罪悪感と、被害回避への安堵が混在しています。
しかし、今回のような措置はどこでも容易に行えるわけではなく、条件を慎重に見極めたうえでの実施です。
今後、地域・住民・行政・猟友会が情報を共有し、「人とクマの距離」をどう保つかが問われています。
私たちもこの種の報道に注意を払い、地域としてできる備えを改めて考える必要があります。

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